2022年は、術後10年を迎える年。

思えば、あっという間だった気もするし、
長かった〜気もします。

まぁ、術後10年を越えようが、ぽんちゃんと向き合う日々は、なんら変わらないんですけどね。

だって、それは私に時間を与えるために、
黙って身を引いてくれた「ぽんちゃん」への礼儀でもあり、
感謝の表現方法だと思うから。

いただいた「時間」を
ぽんちゃんが気づかせてくれたこと、
ぽんちゃんが教えてくれたことを広く発信することで、
必要な人のヒントにしてもらうのが、
ぽんちゃんが私に託した使命ですからね。

 

なんてことを考えていた矢先、
なんと、母が胸膜の中皮腫とわかり。。。

 

乳ぽん(=乳がん)治療を体験してから10年の一つの節目の年に、
「ぽん患者(=がん患者)」の家族になる、
つまり、その治療を支える立場になる、
という新たなテーマを授かることになろうとは!

 

ほんと、人生っていうのは、予想できないことの連続です。

 

ということで、今度は「患者の家族」という視点でも発信していきたいと思っています。

同じく「患者さんの家族」の方々、
ご自身が「患者」の方々の
少しでも楽しく、ハッピーな治療ライフのお役に立てたら嬉しいですっ

 

早速ですが、今日は経緯を簡単にご紹介したいと思います。

ことの発端は、昨年12月中旬。
激しい息切れを覚えた母が、病院でレントゲンを撮ってもらったところ、
胸水がかなり溜まっていることが判明!

即座に総合病院へ行き、精密検査を受けたところ、
当初の見立ては、「肺腺がんのステージⅣ」とのことでした。

が、胸膜に肥厚(厚くなる現象)が見られ、
胸水のヒアルロン酸濃度が高いことから、
中皮腫の可能性もあるとのことで、さらに病理検査を重ねたところ、
昨日、「悪性胸膜中皮腫 ステージⅠb」と、確定診断となりました。

 

ご存知の方もいるかもしれませんが、
中皮腫は、アスベスト由来で発症することがほとんど。

なんらかの要因で石綿を吸い込んでしまってから
20〜40年ほど経って発症することから、静かな時限爆弾とも称されます。

この時限爆弾、ほとんど症状がなく、
咳や息切れ、胸水貯留などの症状が現れたときは、
すでにかなり進行していることが多いとか。

しかも、予後がよろしくない希少がんで、
残念ながら、治療方法もかなり限られているのが現状。

普通に情報収集していると、「ハァ〜」と、重いため息をつくようなものばかり。

 

で、思いました。
中皮腫との確定診断が出た場合、
担当医は、申し訳なさそうに厳しいことを口にするだけだろうな、と。

当初の肺腺がん・ステージⅣの診断で、かなり落ち込んでいるところに、
担当医の説明も全く理解できずチンプンカンプン状態。
そこに、さらに追い討ちをかけるように、
肺腺がんよりタチの悪い「中皮腫でした」
なんて確定診断を受けたら、母の精神的ダメージは計り知れないな、と。

ちなみに、母の素質はi-colorグリーン。
何事も能天気に捉える私と違い、
どちらかというと「マイナス」な面をピックアップしがちな素質なので、
一気にネガティブモードMAXに振り切れかねない。

がん治療で重要なのは、治療に向き合う姿勢。
納得して、心から前向きな心持ちにギアチェンジして臨まないと、
せっかくの治療も効果半減しかねません。

私の場合、自分でギアチェンジするのが得意なので、
案外、サクッと前向き状態を作れちゃうんですが、
他人、しかも、ネガティブモードに陥りやすい母の気持ちのギアチェンジを促すのは、至難の技であることは容易に想像がつきました。

ただ、そこは、自称日本一、前向きな元乳ぽん患者の腕の見せ所でもあるw

確かに、楽観視はできませんが、
最悪な状況の中にも必ず、プラスの要素は潜んでいる!が、信条な私。

まずは、今回の事態の中から、「プラス」の要素を洗い出すべく
徹底的に情報収集しました。

で、事前に情報武装をした上で、
確定診断に同席。

案の定、口を濁しながら伝えられる最悪な事態の告知に
母は平静を装いつつも、完璧にフリーズしているのがわかりました。

まぁ、これも想定の範囲内。

で、早速、診察室を出て、待合室で待機している間に
一つ一つの情報に対する「プラス」転換&アップデートを試みました。

例えば、中皮腫との診断についてなら、
かなり進行してから見つかることが多い中皮腫にもかかわらず、
心配したリンパへの転移も、他臓器への転移もなく
あくまで片方の肺の胸膜のみにとどまっている状態=ステージIbで早期発見ができたなんて奇跡!と。

今後、どんな治療になるかについては、
「手術」を選択するか否かは、外科の先生と相談してから決めればいいけど、
そもそも、手術適用の可能性があることが、めちゃくちゃラッキー!

仮に化学療法を選択するとしても、
ノーベル賞に輝いたあのオプシーボと、ヤーボイを一次治療(最初の治療)から使えるなんて、超〜恵まれているよ。
オプシーボとヤーボイ併用療法が承認されたのは、昨年5月。
多くの中皮腫患者の先輩たちは、抗がん剤からスタートして、
抗がん剤の効果が期待できなくなってからようやくオプシーボが使えるんだから。

ちなみに、この話にオプシーボやヤーボイの免疫チェックポイント阻害薬と、抗がん剤の違いがわかっていない母は、キョトン状態。

で、オプシーボやヤーボイを使った併用療法では、
抗がん剤のように髪の毛が抜けたり、激しい嘔吐みたいな副作用はないよ、
と伝えたところ、
「本当に!」と、めちゃくちゃ表情が明るくなりました。
そのあとは、どうして副作用がないの?と、何が違うの?と、質問の嵐になったので、抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬の違いを解説w
さらに、抗がん剤ほど辛い副反応はないけど、
間質性肺炎とか甲状腺などの副反応が出る可能性はあるから注意は必要なこと、
中皮腫患者の先輩たちは、抗がん剤に比べると、オプシーボは劇的に楽!って口を揃えているよ、と付け加えました。

このあたりから、「治療してもいいかも」と、心境が180度変化したようで、
それまで、もう78歳だから治療はね〜、まぁ、寿命といえば寿命だし、と、後ろ向き発言連発していたのが嘘のような変化でしたw

さらに、この1月から広島大学で中皮腫の新薬の臨床試験がスタートし、
上手くすれば2026年には承認される可能性があること。

他にも、東大でもα波を使った新しい放射線治療の研究が進んでいることなど、
治療で、縮小や進行をコントロールに努めれば、
将来的に寛解できるかもしれない可能性のタネがたくさんあることを伝えたところ、一気に治療へのモチベーションが高まったようで、
「転移がなかったことが嬉しい!」
「治療に向けて体力をつけるためにも、頑張って食べる!」
と、笑顔で話始めたのには、驚きました。

 

確定診断が出るまでの半月あまり、
とにかく徹底的に中皮腫について調べまくった甲斐があった瞬間でしたw

 

まぁ、これから始まる治療の道のりは長く、険しいでしょうけどね。
それでも、モヤモヤを抱えながら臨むよりは、
希望を胸に能動的に臨む方が、当人的にも家族的にも良いのではないかと。

 

お医者様は、仕事柄、最悪のケースを伝えるもの。
そんな告知のショックを和らげるコツは、
最悪の中にも必ず潜む「プラス」な部分に焦点を当てるに限ります。
そのためにも、事前の知識や情報収集は必須だな、とつくづく思います。

ただ、患者さん本人がそれをやるのは難しいかもしれません(私が乳ぽん発症の時は、平気でガンガン調べちゃいましたがw)
ぜひ、家族を初め、サポートする方が変わって行うと良いと思います。
そして、サポートされる方が、情報をプラス転換して伝えるようにすると良いと思いますよ。