↑3月の入院中、4月の78歳の誕生日は迎えられないだろう、と覚悟していたと話す母。
まさかこんなに元気に誕生日を迎えることができるとは!と、大喜び。
写真は、パン好きな母のために、パン作りが得意な友人にお願いして焼いてもらったパンの数々。
ちなみに、この量、ペロリと平らげましたw

 

母が悪性胸膜中皮腫と診断された時、
私は、とにかく「いい治療はないか」と、
積極的治療のことばかり考えていました。

もちろん、今もその判断が間違っていたとは思っていません。

ただ、すったもんだの末、自宅療養をすることを決め、
いざ、自宅介護をはじめてみて
大切なことを見落としていたことに気づきました。

見落としていた大切なこと、
それは、生きるための基本的なこと。

もう少しわかりやすい言葉にすると、
栄養のバランスに配慮した食事を美味しくいただき、
ぐっすり眠ること、
朝になったら陽の光を浴び、
挨拶を交わし、
たわいのない会話を楽しむ。
部屋に飾った生花を愛でて綺麗と思う。

そんな当たり前の営み
と、いう土台がしっかりしていてこその積極的治療なんだ、と。

つい、お薬に頼ることばかり、
医療に頼ることばかりに目がいってしまい、
そんな当たり前のことを見落としていたことに
改めて驚いています。

 

自宅療養をスタートして1ヶ月。
最初は、1、2口で食べ切れるほどのごく少量しか食べられなかった食事も、
今では、3食+間食まで
ペロリと完食できるようになった母。

1日の摂取カロリーも、平均で1600kcalを超え、
タンパク質も平均60g越えと、
十分な栄養とエネルギーを食事でとれるように。

つい、ひと月前までは、
ほとんどの栄養とエネルギーを点滴で
なんとか摂取していたなんて信じられないほど。

口から栄養やエネルギーをとれるようになると、
びっくりするほどの勢いで
母の体に力がみなぎってくるのがわかります。

当初は、ベッドの上に弱々しく横たわっているのが精一杯だったのが、
今では、日中はベッドの上に座ってテレビを見たり、
ゲームを楽しんだり、
折り紙や絵を描いたりして過ごすまでに。

睡眠導入剤などの薬を使ってどうにか眠りについていたのが、今では薬を飲まなくても朝方までぐっすり眠れるように。
最近では、夢を見るようになった、とw

定期的な訪問診療や、訪問看護は受けていますが、
これといった治療はしていないのに、
明らかに母は元気を取り戻しています。
大きな声で笑うことも増えましたw

医療やお薬の力を借りることも治療ですが、
日常の営みをしっかり整備することも、
れっきとした治療なんだと、
つくづく思い知らされた1ヶ月でした。

呼吸を助けるための酸素吸入量は、
体力の回復に伴い、5Lから3.5Lにさがり、
ほとんど稼働していなかった中皮腫に犯された右肺も
今は8割方活動しているとか。
血液検査の結果も良好と、
データ的にも明らかな改善が見られるように。

と、なると、つい、積極的治療を再開できるかも? なんて考えちゃいますが、一連の流れの中で「焦りは禁物」を思い知らされたので、当面は、基本の基に重点をおき、体力回復に努めたいなと思っています。

4月の目標だった、
「食事で十分な栄養とカロリーをとれるようになる」
は、おかげさまで達成できたので、
今度は、今の状態を維持しつつ、
瀕死の状態で激減した体重を
最初の入院前の水準にまで戻すことを目標に
焦らず騒がず、当たり前のことを当たり前に丁寧にやっていきたいな、と思っています。